2006年11月27日月曜日

詐欺もしくはねずみ講(フィクションです)

おととい、土曜日の昼下がりに上野駅の喫茶店で友人を待っていたところ、隣の席に男3人組が座った。30代くらいのスーツにコートを羽織ったサラリーマン風ひとりと大学生もしくは院生くらいのが3人。そこそこいい大学に通ってそう。理系っぽい。デキる男感を演出した気なサラリーマンの足元からはしかし、白い靴下が見え隠れする。それはないだろ。頭部もそろそろ地肌が見えるようになっており、ネクタイはクタクタ。服装からだけで判断するわけではないが初対面ならまず信用しないタイプだ。当初は持参していた日経を読むのに忙しくあまり気にしていなかったのだが、徐々に隣の会話が聞こえ始めてしまい、新聞どころではなくなってしまった。

「今僕のファンドは5000万くらいで運用しているんですよ、大体20%くらいで廻してます」
「ほらこのチャートみてください。ユーロ相場ですけど、ここの下がったときで買って一番上がったときに売るといいんですよ」
「まあはじめはみんな下手ですけどやっぱりやっていくうちにどんどん上手くなっていきますよ」
「僕は事務局のメンバーで原資を集めるのが仕事なんです」
「最初に50万みなさんに入れてもらうんです。そして、みんなには事務局から資金を提供します」
「原資はみんなが損したときに穴埋めしたりとかに使ったり、あとやっぱり集めた大きい金額で運用したほうが儲けもデカイですよね」
「当初は儲けの15%と税金分(20%取られちゃうんだよね)を事務局に入れてもらうんだけど、誰かを紹介くれたら、それが10%になり5%になりということになっているんです。まあ税金は絶対取られちゃうんだけど。これは払わないと怒られちゃうしね。それでも儲けの65%は手元に残るんですよ」
「詐欺だと思うかもしれないけど、こんな手の込んだこと詐欺でやるんだったらトレードやってればいくらでも儲かるんで。そんなバカなことしませんよ」
「これは内々の話にして欲しいんだけど、僕は儲けの15%を皆さんに返そうと思ってるんです。僕としては当初の原資が集まるだけでメリットがあるし、それで事務局からキックバックがくるんで。表向きは黙ってて欲しいんですけど」
「皆さんの損失は、まあ当初だったら僕のポケットマネーで補填できるんで。まあ5000万で運用してますからね」
「(北千住の1LDKのボロアパートの図面を見せつつ)光ファイバーで最新スペックのPCを入れます。ここをトレーディングルームとして使ってください」
「親会社儲かっちゃってて税金対策で山買って植林始めたんです。出来た木はタダで売るんですよ。環境問題に役立つというので税金が免除されるんです」

と、このほかにも色々と突っ込みどころの多い話を白靴下は続けていたのだが、純粋なのかバカなのか3人は非常に熱心にうなづきつつ「儲かったらハワイからでもトレードできますねー」とか「俺らの下に人つければいいんだ!」と見事なカモぶりを発揮してました。あんまりバカなので助ける気も起こらず、また友人も一向に来る気配がなかったので僕はそのまま店を出て帰路につきました。

あの後彼らはどうなったのだろうか。いくらむしり取られるのかは知らないけれどひとつの社会勉強なのかもしれません。皆さん、気をつけましょう。



2 件のコメント:

  1. 面白い話ですね。白靴下にちょっと不潔な感じ。。。典型的ですね

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  2. 詐欺の話を隣で聴く機会というのはなかなかないので(フィクションですが)、いい経験でした。詰めが甘い詐欺師ですよね。と、本当の詐欺は詐欺だとは気づかれないのでしょうから、聴いていても気づかないのでしょうけど。

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