2010年も11月になり徐々に年の瀬が近づいてきつつあります。
繊維新聞社の倒産だったり知人の会社の取引先も倒産したという話を聞いたりと、景気の低迷が強く感じられます。
図書館で借りてきた息子の絵本の中に1984年に出版された自動車を紹介する絵本がありました。
自転車屋を営む父親とその小さな息子が軽トラックに乗って、自転車をお客さんのところへ配送するために街をめぐる、そのなかでいろいろな自動車を紹介するというコンセプトの絵本です。軽自動車や軽トラックから、パトカー、ダンプカー、救急車、はしご車までいろいろな自動車が出てきます。
絵も丁寧に書かれていて好感が持てる絵本なのですが、この絵本を読んで一番強く感じたのは「すごくポジティブに描かれているな」ということです。特に無理してポジティブではなく、逆に絵としては丁寧に写実的に落ち着いたトーンなのですが、それでも「未来への希望」とか「輝かしい」とかそういったようなキーワードが思い浮かんでくるようなポジティブさに溢れています。
その26年後の2010年、果たしてこのようなポジティブな絵が描かれるでしょうか。決して今では描かれない、描かれたとしてもリアルに感じられない絵になってしまうのではないかと思います。そういうような閉塞感というものが今は溢れています。
例えば90年代は80年代の音楽を聴くのがむず痒かった。能天気さが気恥ずかしかった。しかし今、80年代の音楽を聴くと気恥かしさではなく、羨ましさ、羨望といったような気持ちが出てきます。
僕はやはり世の中が前向きであるほうがいいと思います。明るいほうがいい。
どうしたら明るくなるか。
これだけでは十分ではないかもしれませんが、僕はスタートアップも含めた小規模な企業やフリーランサーが活性化することが重要だと思っています。
ネットの技術が発達してきて、ツールとしてはGoogle Appsをはじめ、大企業もフリーランサーも同じものが同じ価格で使える時代になりました。これはいままでなかった。
あとはアイデアと瞬発力で個人や小規模な企業が活躍できる素地が今は十分にあります。これはIT技術が普及し、世の中がフラット化してきたことによるものです。個人で実現できることは昔に比べてとても大きくなってきています。
小規模な企業や個人がどんどん自分のアイデアをかたちにして広げていくことでちょっとずつちょっとずつ未来が開いてくる、明るくなってくるのではないか。そういうふうに思っています。
和田アキ子の歌で「あの鐘を鳴らすのはあなた」という曲があります。僕はとても好きな曲です。阿久悠が作詞したこの歌は、60年代末という世相を反映してか、暗い中から手を伸ばしていくような光を求めていくような、そんな印象を受けます。
今もちょうどそんな時ではないでしょうか。阿久悠は、きっと聴衆のひとりひとりに向かって「あの鐘を鳴らすのはあなた」だと言っていたのだと思います。2010年に生きる我々もひとりひとり鐘を鳴らすときなのだと思います。
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