2010年2月23日火曜日

パブリッククラウド

最近ある雑誌でクラウドについて特集していた。Googleやセールスフォース、アマゾンが日本においてもクラウド市場で大きなプレゼンスを持っていて、大手のベンダーは早急な巻き返しが必要だ、というような内容だった。

そのなかでこんなことが書いてあった。メールなどのシステムは他社と差別化できないのでクラウドを使ってコストを抑える、一方、基幹システムはその会社独自のもので、そこにその企業独自のノウハウが詰まっている競争力の源泉であるから、パブリックなクラウドサービスを使うのではなく、プライベートなクラウドで独自システムを運用するのが望ましい、と。

このような意見は一見正しいように思える。そんな風に考えてた時期が僕にもありました。しかしそれは本当なのだろうか。

例えば、WEB制作会社、どの会社もイラストレータ、フォトショップ、ドリームウィーバーと、Adobe製品を使っている。逆にこれらのソフトウェアを持っていないWEB制作会社は本当にWEB制作会社なのかと疑われても文句は言えないくらいだ。そのくらいこれらの製品が普及している。彼らWEB制作会社にとっては3種の神器と言ってよいくらいのものである。彼らの競争力の源泉にも関わらず、どこも全く同じソフトウェアを利用している。これらのようなソフトウェアを独自で自社開発して使っている会社というのは聞いたことがない。

つまりWEB制作会社にとっては、ソフトウェアやシステムというのは、独自のノウハウが詰まっているものではなく、ただ単に業務を効率的にすすめるための道具なのである。独自のノウハウはソフトウェアにはなく、デザイナーやコーダーの頭の中にある。

こんなことは、どの業種の企業にも概ね当てはまるのではないか。情報システムやツールは、それ自体に独自の価値があるのではなく、それをどのように使いこなすかという使い方の部分に独自の価値があるのではないだろうか。独自の価値が詰まっていると思われていたシステムも実は、それを使いこなす人がいてはじめて、その独自の価値がえられているということだ。システムに価値があるのではなく、それを運用するときに随時判断してもらうのがベストだと思われる。

こう考えると企業の業務の大部分が、パブリッククラウドでサービスを利用する形態となっていくだろう。またその過程でサービス料金はどんどん低減していくだろう。

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