2010年2月8日月曜日

バーチャル化の行く末

色々なものがバーチャルになっていく。

サーバ、PCといったコンピュータだけでなく、Kindleでは書籍がバーチャルになった。テレビ会議も当たり前のものになってきて、バーチャルな空間を共有しているといえる。

これと同様に会社組織もバーチャル化していくのではないかと考えている。ノマドやcoworkingといったキーワードにも通じるのだけど、正社員という括りがだんだん解かれていくのではないかと感じている。

社員というのは、いわば、会社の事務所だったりする物理的な空間が存在していて、そこに毎日働きにくる、出社する必要があって機能する。そこで時間的拘束をされ労働力を提供することの対価として給与が支払われ、また安定的に労働力を確保することを目的として各種福利厚生だったり退職金という制度だったりが存在している。

しかし、ネットの発達やクラウドコンピューティングの進展によって、特に物理的に同じ場所にいなくても仕事ができるようになり、そうなると時間的な拘束という側面は必然的になくなってきて、成果主義的な評価が強くなり、そうなると退職金というような給与の後払いの仕組みはだんだん機能しなくなってくるのではないか。事業の季節変動やプロジェクトの負荷具合によって人員は最適に確保されるというような状況が少なくとも技術的には、やってきつつあると思う。

今の労働基準法などの法律はそのような状況は想定してなくて、事務所に行って働くモデルを採用しているのと、長期的な雇用の確保が企業にとっても有利だった高度成長時代にマッチしたものなので、この技術面での進展とのギャップはどんどん大きくなっていくだろう。これはたぶん日本の生産性の低下とつながってくるし、現に今の日本の低成長の一旦はこれが原因として当てはまるのではないかと思う。

ネット系のソフトウェアエンジニアやWEB制作エンジニアは3年とか5年ごとに転職するのが既に一般的になっていて、これは専門性の高い仕事なので転職がしやすい、新しい会社の仕事にマッチしやすいということが要因だと思われる。一方でいわゆるホワイトカラーと呼ばれる仕事に就いている人々、特に大企業の人々は一般にあまり転職はしないと思われる。しかし、それは今までの成長時代に大きくなった企業がその余韻のなかに佇んでいるからではないか。今後進んでいくクラウド化は事務所に出社する必然性を限りなく少なくする。そうなると時間拘束から開放されると同時に正社員としての雇用が必然的に不要なものになってくる。まあ全員そうなるわけではないけど、傾向としてそういう状況になってくる。

もしこのようになるのであれば、それは我が国にとっては良いことだ。労働力の流動性が増し、全体として労働力の最適化が図られるようになる。それは例えばEC2でサーバを負荷に応じて最適化するのと似てなくもない。事務所という物理レイヤーが無くなることによる労働のバーチャル化とでも言えるのではないか。

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