2009年12月15日火曜日

Google Waveについての妄想

Google Waveのベータ版が現在招待者に対してのみ公開される形で使えるようになっています。僕も一応招待していただいてアカウントを取得しました。

触ってみた印象としては、「便利だとは思うけど、どうやって使おうか」というものです。既存のコミュニケーションのメタファーとはかなり違ったアプローチなので、相手との無意識ベースでの前提の共有があるのかないのか、あってもお互い勘違いしているのではないか、という不安感が漂うのです。


なにかワケの分からないことを書きましたが、例えばメールでいうと、これは手紙のメタファーです。なので、こちらから書いて送って、相手に誰かが届けてくれて、相手が開封して読んで、場合によっては返信をくれる、という人類が結構前から慣れ親しんでいるはずの慣習がそのままトレースされてできています。また、チャットもまあ、電話的な会話ですよね。こちらがしゃべったのをきいて相手が返事をしてくれる。わかりやすいですし、すぐコミュニケーションの暗黙なルールがお互いにしっかりと共有できるものです。

ところがこのwaveはあまりそういった前提が存在しないコミュニケーションツールに見えます。リアルタイムで相手の書いている内容を把握でき、また過去の過ぎ去った文章にも訂正が入る、というか過去とか未来とかいう時間の流れ、タイムラインというものがありそうでなさそうなかんじ。でもリアルタイム。例えばtwitterなどではタイムラインというしっかりとした流れが基調として存在していて、過去のつぶやきは修正できなかったりというわかりやすいルールがあります。なので入りやすい。waveはそういったところがなく自由度があまりに高いのでお互いに暗黙的ルールが一致しているのか、というか存在しているのかさえ疑わしいところに、僕はちょっと困っています。

こういった部分というのは、現在のgoogle waveの実装の問題というか、ユーザインターフェース的な部分の問題に帰結する可能性もかなりあって、そういったところでの洗練がなされれば解決されることかもしれません。ただもう1点感じたというか思ったところは、もっと別の部分で存在しています。プロトコルの部分です。

このwaveのプロトコルのユニークさは2点あると思ってます。ひとつはhttp上に実装されているプロトコルである、という点。もうひとつは、リアルタイムというのとも重なりますが、プッシュ型という点です。

この2つが組み合わさることで既存のプロトコルはユーザが触れる部分については大部分がいらなくなってしまう、もしかするとhttpだけでよくなってしまう、ということになるのではないかと思ってます。

httpはもともとステートレスでプル型の通信です。サーバはリクエストを受けてから、リクエストされたものに対して予め定義された内容で(その内容はファイルだったり、プログラムが生成したものだったり)返答します。誰からのリクエストであっても同じリクエストであれば同様のレスポンスを返すというのが基本となっています。

一方、waveのほうはといえば、http上で実装されていながら、ステートフルでプッシュ型のプロトコルです。このプッシュ型によってリアルタイムでの書き込みの反映が可能になっています。

このwaveのステートフルでプッシュ型なプロトコルが普及するとどうなるか、というところですが、僕の予想(妄想)では、メール(smtp,pop,imap)のプロトコルを少なくともユーザは使わなくなってしまうのではないか、と考えています。waveを使ったアプリケーションのユーザビリティ(上に挙げたお互いの暗黙な共通認識も含めて)が確立されてくれば、コミュニケーションのベースとして非常に強力なパワーをwaveは発揮することは間違いありません。そうなると既存のメールソフトからのメール送受信というものは、waveに置き変わってくることになります。もともとwaveの思想としても、メールを現在のインターネットのなかで再定義する、というのがあります。つまりsmtpからhttpへとメッセージの流通プロトコルの大転換が行われるということになります。

たぶんこれはgoogleは結構意図的にそのようにしているのではないかと思います。彼らはhttp/webの覇者であり、巨大な検索用のデータストレージを保持しています(毎年DELLの生産台数に匹敵するサーバ増強を行っているらしいです)。gmailやgoogle docsなどもそうですが、彼らはPCに眠っているデータや他のプロトコルで流通するデータをすべて、WEB(クラウド)に引き寄せ、それを巨大ストレージにどんどんと貯め込んでいます。しかし今のままでは、全員がgmailを使うわけでもないし、全員がgoogle docsを使うわけではありません。
ここでwaveというプロトコルが登場し普及します。そうすることによって、smtpやローカルPCから彼らの主戦場であるhttpの世界にコミュニケーションのデータを持ってくることができるようになるのです。一般のユーザはhttpのみしか利用することはなくなり(DNS方面でも何かしら更なるアクションが出てくるかもしれません)、そしてそれらのデータはgoogleが余すことなくストレージする、そんなことになるかもしれません。

以上は妄想ですし非常にとっちらかった文章ですが、google chrome, chrome os といった流れから考えるとあながちハズレてもないかもしれないと思ったりしています。

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